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Il Divino, Michelangelo Buonarroti

14世紀にイタリアから始まったルネサンスの運動(古典的な文化や芸術の復興と変革)は、16世紀にかけてヨーロッパ全土へと広がりました。
そんな芸術の移行期に「イル・ディヴィーノ(神から愛された男)」と称されたのが、フィレンツェ生まれの芸術家・ミケランジェロです。
「人間は原罪を背負った欠点のあるもの」とした中世の思想は、ルネサンス期において「人間は潜在的に高貴で美しいもの」とする人文主義に変化しました。
それにともない、美術界では視覚的なリアリズムを表現する技法が発達していきます。
ミケランジェロは解剖学にも長けていたといわれ、肉体を立体的に表現する絵画や彫刻作品で異才を発揮しました。
後期には壮大な建築物なども手がけています。やがて作り手の精神性をも表出する彼の創造的思考は、
イタリア語でデッサンを意味する言葉「ディゼーニョ」と重なり、西洋美術界の新たな概念として確立しました。
2025年秋冬のリッチモアは、今年、生誕550周年を迎えるミケランジェロに敬意を払い、彼の「ディゼーニョ」スタイルを反映したデザイン群を展開します。

1 ルネサンス/調和
Rinasceimento

「人間の身体は神によって創造された完全な形である。」
ルネサンス期における人間に対する考え方は、
この時期の文化・芸術の根幹をなすものでした。
絵画は平面的な宗教画から、遠近法を復活させた奥行き感のある絵画へ。
ミケランジェロによる彫刻・ダビデ像は、
人間らしい動きのある非対称のポーズが生命感を強め、
ルネサンス期の代表作として称賛されています。
このセクションでは大理石のオフホワイトをイメージカラーにした、
クラシックな地模様作品をご覧ください。
BR-14703

大理石の風合いを再現した淡墨色のカーディガン。
短めの丈は重ね着にもおすすめです。
胸元で結ぶリボンが愛らしいアクセントに。

使用糸

カシミヤ

BR-14704

ケランジェロの彫刻「燭台を持つ天使」を
彷彿させるロングカーディガン。
身頃は糸の引き揃えでニュアンスを。
前立てやポケット口はリング編みで飾ります。

使用糸

コラージュ、エクセレントモヘア<カウント10>グラデーション

BR-14705

ルネサンス様式らしい
左右対称の調和の取れた模様に注目。
脇から前後身頃を編み広げて作る
かぎ針編みのベストです。

使用糸

ファインスノー

BR-14706

透かし模様の正方形を
アクセントにしたラグランプル。
数学的均衡が取れた正方形は、
ルネサンス期の建築に用いられた
美しさの象徴でした。

使用糸

パーセント<バリエーション>

2 セルペンティナータ/動き
Serpentinata

このセクションからはミケランジェロが、彫刻・絵画・建築の各分野で打ち出した
「ディゼーニョ」の概念の確立につながった表現様式を取り入れました。
特徴はセルペンティナータ(蛇状曲線)と呼ばれる、身体への大きなひねりです。
この手法を用いた彼の彫像からは強い躍動感を感じます。
正面だけでなく、どの方向からでも楽しめるポーズになったことも特有の変化といえるでしょう。
本章のウェア作品は、斜めや螺旋状の模様、糸色の変化でデザインに動きを与えました。
BR-14710

人体にひねりを加えた彫刻は、
ルネサンス期を特徴づける様式。
そんな体の動きを
凹凸模様の方向を変えることで
表現したプルオーバーです。

使用糸

エクセレントモヘア<カウント10>グラデーション

BR-14711

背中の中心から編み広げていくマーガレット。
体の奥底から沸き上がるエネルギーを
力強く表現しました。

使用糸

ロプロプ、アンデネス

BR-14712

ルネサンスは中世から近代文化への移行期。
そんな歴史の積み重ねを
素材違いの縞模様で表したショートコート。
とじはぎの少ないデザインも魅力です。

使用糸

ラビリンス、アルパカレジェーロ

BR-14714

印象的な斜めの透かし模様は
創造の根本とも言える
ディゼーニョ(素描)の筆跡のよう。
斜めに上がった裾ラインと
色の変化を楽しむプルオーバーです。

使用糸

バカラ・エポック

3 カンジャンテ/玉虫色
Cangiante

明暗(陰影)の色調を白と黒で表現せず、あえて異なる色を重ね、
色彩の対比で表現するのが「カンジャンテ(玉虫色)」。
ルネサンス期にミケランジェロが多用した絵画の技法です。
人間のリアルな表現から始まったルネサンス様式は、ミケランジェロによって
調和の取れた美の基準から踏み出し、さらなる自由な手法へと発展していきます。
このセクションではカンジャンテ風のグラデーション糸やラピスラズリのブルーを意識した配色など、
色を楽しむデザインを展開します。
BR-14717

オーバーサイズのロングベストは、
カンジャンテ(玉虫色)をイメージした
グラデーションが主役です。
縁部分は変わり糸でアクセントに。

使用糸

アルパカレジェーロ<グラデーション>

BR-14718

静から動へ。まっすぐ編んだ編み地を
斜めに使ったポンチョには
変化というエナジーが宿ります。
ネックと袖口には効かせ色のレッドを投入。

使用糸

ラビリンス、アルパカレジェーロ

BR-14719

インパクトのある前身頃は
ボリュームのあるモヘアの編み地を
胸元で交差させて作ります。
ねじり効果でシルエットもスマートに。

使用糸

エクセレントモヘア<カウント10>グラデーション

BR-14720

袖口と裾まわりにかぎ針編みの
モチーフを配置したチュニックです。
「虹色の」とも表現される
カンジャンテの豊かな色彩を
やわらかなグラデーションで表現。

使用糸

バカラ・クロッシェ、バカラ・エポック

4 マニエリスム/飛躍
Manierismo

調和の取れた構図の美しさが初期ルネサンスの特徴なら、従来の手法を継承しつつも、
人間や建造物の形や比率を変えて独自の解釈でデザインしていくのが「マニエリスム」と呼ばれる手法。
主流になったのは後期の盛期ルネサンスです。
ミケランジェロの建築物では、丸や正方形の変わりに楕円や台形をデザインに用いて
構図の調和を崩し、劇的な空間を創造します。このセクションでは石材をイメージした
ベージュ系を中心に、ダイナミックな模様使いにもこだわりました。
BR-14725

パイナップル模様のベストは
古典的なブリューゲルレースをベースに。
糸のグラデーションは、
サン・ピエトロ大聖堂に使用された
さまざまな色の大理石にも似て。

使用糸

バカラ・クロッシェ

BR-14726

レイヤードスタイルを楽しめる
フードつきのベスト。
着回しをアレンジしやすい
深めにあいたネックと
程よい丈感がおすすめです。

使用糸

ラビリンス

BR-14727

ふんわりしたモヘアのベストは
石灰岩のようなメレンゲ調の淡グレー。
「安定」の三角と「動き」の逆三角を
組み合わせた透かし模様のバランス感も見事。

使用糸

エクセレントモヘア<カウント10>グラデーション

BR-14729

ウエストから編み下がるスカートは
着るとマニエリスムの建築に見られる
台形のシルエットになります。
引き上げ編みの模様を生かして
ジグザグラインの裾に。

使用糸

バカラ・クロッシェ